この見積もりの発熱部のサイズが1cmというのが小さめの値であることと計算の都合上ペルチェの吸熱が一様と仮定したので上記の値は、実際より大きくなっています。大雑把に言ってここの温度差の半分が熱伝ロスになります。
この結果からバッファ板には、アルミなら5mm、銅なら3mm以上の厚さが適当と思われます。こだわる人やCPUの発熱が50Wを越える極限のオーバードライブを目指すのならそれぞれの厚みを倍程度にするといいでしょう。
では、アルミと銅のどちらがよいかというと純度が高ければアルミです。銅の性能は、アルミの倍ですが比重は3倍、同じ重さならばアルミのほうが性能がよいのです。取り付けのことを考えればこの重さは、非常に不利です。また、銅にタップを切るのは、アルミより難しいという工作上の難点があります。
しかし、入手の都合を考えると銅のほうが安心です。なぜなら私達が通常手にする材料は、純銅や純アルミではないからです。一般的な純銅や純アルミはそれぞれ製品名で無酸素銅(OFHC)とか工業用アルミニウム(A1058P)とよばれるものです。よく売られているものはこれより純度が低く熱伝導率の悪いものです。製造工程や合金のバリエーションを考えるとアルミニウムと名のつくものより銅と銘打って売っているものの方が純度の信頼がおけます。こだわりをもつなら銅にしておいたほうが無難かもしれません。
バッファ板以上に大切なのが熱伝導用グリースです。グリースの大切さは、純空冷の世界でもよく言われてきました。慎重に塗ってもCPU表面で数度の温度差が生じます。ペルチェを使用するとグリス面が3個所もできるのでグリスの塗りはより重要になります。
一般的な良質のシリコングリス(サンハヤトSCH−20)などの熱伝導率は、
2×10-4cal/cmsK
と表示されています。この単位を理科年表の金属の単位とあわせると0.8W/mKとなります。シリコングリスの熱伝導率は、金属のそれよりも三桁近くも低い値ですので、このグリスの厚みは限りなく薄くする必要があります。かといって薄くしすぎて素が入っては何にもなりませんが
私の知っているグリスの塗り方例を紹介します。
1. 金属面が見えるほど薄く均一に塗る
2.
厚めに塗ったグリスを畑のように耕し、貼りつけるときに押しつぶす。
3.
適当な量のグリスを真中にたらし、貼りつけるときの圧力で押しのばす。